日常的に見ているものに対し、我々は無意識のうちに様々なことを感受している。普段見ている要素の一部分を誇張して提示することにより、その他の不足部を鑑賞者に補完してもらうことで不気味さを表すことを試みた。
メリーゴーランドは回転台の下のモーターにより回転している。馬に子供の手足がついており、内部に組み込まれたLEDライトが規則的に明滅している。展示空間内には心電図の音が響いている。誇張された様々な要素をもとに不足部を鑑賞者が補うことにより、日常で何気なく見ているものの気持ち悪さを表現している。
メリーゴーランドの回転運動、上下運動は平行感覚を狂わせる装置である。また柱の鏡などは乗るものの空間感覚を狂わせる。上下運動はまるで心電図の波形のようだ。そんな気持ち悪い仕組みが組み込まれているメリーゴーランドに楽しそうに乗る子供たちがとても気持ちの悪いもののように感じた。